お米はどのように作られているのでしょうか? 一年の流れを詳しくみていきましょう。
土を耕運機で起こして乾かすと、土に空気が含まれて根の生長を促したり、雑草が生えにくくなります。田おこしは、田植え前の大事な作業です。
良質な種もみを選ぶ作業。うるち米の場合、比重を1.13に調整した塩水(水10Lに対し、約2.2kgの食塩)を作り、そこに種もみを入れて掻き回し、底に沈んだものを使います。
そこに沈んだものは、胚乳と呼ばれる発芽から初期生育にかけて必要な栄養源が多く重くなっている。
種もみに病原菌がついている可能性があるので、薬液やお湯につけて消毒します。消毒後は水洗いせずに、そのまま水に浸けて十分に吸収させます。乾燥したもみの25%以上の水分含有量となるようにします。そして、種からわずかに幼芽が発生した状態にしておきます。
種もみをそのまま田んぼに植えるのではなく苗の状態にします。
そのために、育苗箱と呼ばれる苗を育てる専用の箱に土を敷いて種もみを撒き、その上にまた薄く土をかぶせます。目が出て大きくなるまで、ビニールハウスなどで育てます。
田んぼを囲む小さな土手とも壁ともいえる「畦(あぜ)」にも粘土質の土が塗られています。畦から取って粘土状にした土を塗り固めていく「畦塗り」という作業は、水漏れを防ぐためには必須です。
代かきを行うために田んぼに水を入れることです。地域によってパイプラインが整備されていたり、農業用水路から水を引きます。代かき作業が行いやすいようにあまり水を入れすぎず、田んぼ全面が軽く浸かる程度にします。
代かきは、田んぼに水を張って田んぼの土を平らにする作業です。代かきをすることで、植え付けがしやすい、土を柔らかくなります。土の表面を平らにすることで、水の深さが均等になります。さらに、雑草の発生を抑えたり、水持ちが良くなったりする効果があります。
育苗した苗を、代かき後の田んぼに植えていきます。昔は苗を一つ一つ手で植える重労働であったが、現在では田植え機を使って植えていきます。平均的に1坪あたり50〜70株、植え付けの深さは3cm前後です。浅すぎると浮き苗が増え、深すぎると分げつ数(枝分かれすること)が少なくなって収穫量が減ってしまう恐れがあります。浮き苗がある部分には人力で植え直しの作業をすることもあります。
浸水管理…「深水管理」する際の水の深さは約7~8cm、苗長の4分の3を目安に水を入れます。水を使って苗を保温することで根の発育や肥料の吸収力を保ちます。また、深水にすることにより、雑草の発生も抑えることができます。
浅水管理…苗の活着後から分げつ期は、2〜4cm程度の水深にして、地温を上昇させることで分げつの発生を促します。出穂・開花期は、開花、受粉、受精を正常に行わせるように行います。
高温多湿の日本では、すぐに雑草がはびこります。そのため、昔は米作りの所要時間の半分近くが雑草取りと言えるほどでした。今日は、稲を痛めずに雑草だけを選択しながら防除する除草剤があり、広く使用されています。田植えの7日~10日後、苗が活着した頃に1回目の除草剤を散布します。除草剤には、液状のものと粒状のものがあります。ただ、一種の除草剤ですべての雑草に効くような薬剤はありません。複数種を併用したり、雑草取りなどとあわせたりして除草するのが一般的です。
また、畦道の除草も行います。畦道の除草には除草剤を使わずに、鎌や刈払機で刈り取る場合がほとんどです。これは雑草の根が張り、畦を強化しているからです。除草剤を使うと、根まで枯らしてしまい、畦が弱くなって崩れたり、水が漏れる原因にもなります。
稲の生育状況に応じて、「分げつ肥」「つなぎ肥」「穂肥」「実肥」など、窒素・カリ・リン酸を適量、追肥として施していきます。
分げつ肥…田植えの2〜3週間後に施し、分げつや葉面積を増やします。効きすぎると過繁茂の原因になるので注意が必要。
つなぎ肥…有効茎を確保した後、窒素不足を補うのに施します。
穂肥…出穂の15〜25日前の幼穂形成期に施し、収穫時のもみの数を増やします。
実肥…出穂後に施し、実りを良くします。効きすぎると米の窒素含有率が上がり、食味が低下する恐れがあるので注意が必要。
稲の生長を調節するため、田んぼの水を抜き7〜10日間かけて土を乾燥させる作業です。イネの根に酸素補給するため、また、これ以上に必要のない分げつが出ないように生育のピークを迎える頃に行います。また、中干しを行うことで、土の中に酸素を供給し、根を健全にする。無効分げつの発生を抑える。土中の有害物質の生成を抑える。という効果があります。
中干し後、根に酸素が行き届いたら、また水を入れる。その後、水を落とす。この作業を繰り返すことで根ぐされを防ぎ、活力を保ちます。しかし、穂ができる時期には稲は水分を必要としているため、乾かし過ぎには注意が必要です。
稲刈り30日前くらいになったら、田んぼの水を落とします。水を早く落としすぎるとお米が実りにくく、やせて色つやのないお米になることもあります。
上の写真のように実入りが進み、葉や茎も黄色になり、田んぼ一面が黄金色になると収穫の時期になります。(大部分のもみが黄色になり、10〜15%のもみに緑色を残している程度)未熟なうちに収穫すると青米になり、刈り遅れると胴割れ米(米にヒビが入っている状態)になります。
稲をはざ掛けをして湿度の低い秋の日差しのもとで天日干しを行います。お米を干すことでアミノ酸と糖の含有量が高くなり、また、稲を逆さまに吊るすことで、わらの油分や栄養分、甘みが最下部の米粒へとおりて、栄養とうま味がますと言われています。
収穫時のもみには多くの水分(22〜25%)を含んでいたもみを、乾燥させることにより、14〜15%まで水分量を減らした後に、脱穀を行います。稲の状態であるものを、わらと籾だけの状態に分けていきます。
脱穀を行った後は倉庫にお米を片付けていきます。
田んぼに残ったわらや、もみすりしたもみ殻などの有機物を、秋のうちにすき込み分解を促進させることで、堆肥施用同様の効果を生み、収穫後の地力低下を防ぎます。また、わらを早く分解させることで、来年の代かきの際にわらが浮くのを防ぐことにもなります。